ハヤえもん開発者のりょーちゃんとの対談です。
ハヤえもんは熱烈なファンが沢山いる人気のアプリです。Windows、MacOS、Android、iOSに対応しています。
月間で最高40万円以上を売り上げているだけでなく、色んな人に支えられて成長しています。会社員として働きながら個人でアプリを作り続け、今では個人開発専業でアプリを育てています。
Windowsソフトの開発から数えると、14年という期間ハヤえもんの開発に打ち込んでいます。これだけの期間継続し続けられる人はなかなかいません。
本記事を見ていくとわかると思いますが、どこを探しても載っていないエピソードが詰まっています。
どのようなマインドで開発を続けているのか。アプリ開発に巡り合って何が変わったのか。エンジニアが活躍するために必要なことは何かといったことを深く掘り下げていきます。
エンジニアになろうと思ったキッカケ
だから大学で単位を取る時に一番人が少なかったゼミを選んだ。それがプログラミング。そこから全てが一転した。
自分が作りたいと思った物を動かすためのプログラミングを学習してコーディングをすればそれが結果として反映される。自らハンドルを握って運転できる。
そこに楽しみを見出せた。
それがきっかけで開発者となり、今では沢山のファンを持つアプリに成長してるね。楽しそうにアプリをやってる印象がとても強いよ。
ユーザーから感謝されることが何よりも大切
中には「自分の人生を救ってくれたのはハヤえもん。この最高のアプリに一生ついていく」と言ってくれるユーザーもいる。あの時は大泣きした。
自分もユーザーからもらう「ありがとう」という言葉に支えられているから、その気持ちがすごくわかる。
数千という数のレビューの平均評価が4.8。良い意味でぶっ飛んでる。その背景にある努力を考えただけで泣けてくるよ。
自分の場合はユーザーの声を大切にした事で評価が伸びた。不具合があればすぐに直す。ユーザーの声に耳を傾けて改善を繰り返す。
痒い所に手がとどくアプリにする。レビューのタイミングも配慮する。そういう細かいことの積み重ね。その辺についての話もブログで配信していくよ。
自分もユーザーの気持ちを理解しようとしている。技術も大切だと思うけど、それ以上にユーザーのことを考えたサービス作りが大切だと思ってる。
ユーザーのことを考えて物作りをし、色んな人から感謝されることでその大切さがわかるから。
エンジニアが活躍するために必要なことは何か
・行動力を活かしたビジネス展開
・エンタメやファンをベースとしたビジネス展開
行動力を活かしたビジネス展開にはセンスも必要。最適なタイミングでサッと入り込めるのもそうだし、方向性の見極めもそう。自分の場合は最後のエンタメやファンをベースとした展開が得意分野だと思っている。
このエンタメやファンをベースとしたビジネス展開のキモは「AIが真似できない」という事。人を楽しませようという考え方をベースにしたエンタメや、一人ひとりのユーザーを大事にする姿勢は確実に強みになる。
自分の場合は、行動力とファンビジネスの掛け合わせを考えている。それをする上で技術が必要であれば学んでいく。
あくまで技術は手段であって、大切なのは人から感謝されることだと思っている。
ファンビジネスの展開
自分がその時に考えていることを全てオープンに書いている。だから長文になっちゃうんだけどさ。
最初はその長文に対して「星5」と「星1」がついた。普通に考えたら「星1」がついたらやめるでしょ。
でも自分の生きてきたこと全てがハヤえもんにつながっているし、それをユーザーに伝えたい。
だからずっと想いを載せ続けた。載せ続けるごとに星1をつける人が減った。自分をオープンにしたことで色んな出会いが増えて、ハヤえもんは加速した。
自分は、ハヤえもんのユーザーの名前(ハンドルネームなど)を挙げてと言われたら何十人も挙げる事ができる。それは自分にとっての誇りになってる。
他にもAndroid版の開発とか色々やってくれてるゆっきーや、がっつりテストをして不具合報告を上げてくれるユーザーなど、いろんな仲間がいる。
みんながハヤえもんを加速させてくれてるんだ。
どの本を見てもこんな話は載っていない。りょーちゃんの人柄がアプリに出てるよ。
ここにいる2人を繋げてくれたギタリストの北島 健吾さんも2人のアプリのコアなユーザーなんだよね。
大量のウニが家に届く開発者
例えば「かっぱ寿司」と「高級寿司」。
高級寿司を食べて感謝する人よりも、かっぱ寿司を食べて感謝する人の方が幸せになれると思っている。
自分は食べ物にあまりお金をかけない。かっぱ寿司を食べても幸せを感じている。感謝の感度が高いんだ。
職人さんや農家さんが丹精込めて作ったものは美味しいし、健康的に過ごすためにオーガニック食材を取るようにしている。
旅行でハワイと北海道にいったことがあるんだけど、自分の中ではハワイよりも北海道の方が圧倒的に楽しかった。
個人差があると思うけど、自分の場合は綺麗な海を見るよりも採れたてのイクラを食べた時の感動の方が大きかった。
良いパスが来た!
自分も北海道大好きなんだ。北海道にいって美味しいウニを食べた時に感動を覚えた!そこからウニがたまらなく好きになった!
amazonのほしい物リストにウニを入れてるし、アプリでも「ウニのポインター」を課金アイテムにしている。
毎年誕生日になると、自分のことを応援してくれているユーザーさんから沢山のウニが届く。もうウニ大好き!
家族と個人アプリ開発のバランス
みんな大切な子供だから均等に愛情をかけるようにしている。ハヤえもんの開発をしていて、子供が寂しそうだなって思ったら子供を見る。
子供と時間を過ごしていて、ハヤえもんが寂しそうだなって思ったらハヤえもんを見る。
ちなみに我が家では時間を浮かせることを大切にしていて、便利家電の「食洗機」と「ルンバ」に助けてもらっている。
便利家電で時間を浮かせられるとプライベートの時間も確保しやすいよ。
働き方
本当にストイックだなーって思っている。起業はしないの?
今の会社が好きだし、会社員として働きながら個人アプリを作っていくことでエンジニアに勇気を与えられると思っている。
エンジニア業界全体が残業を減らす方向に向かい始めているし、国も副業を推奨している。
だからこそ個人で何かをやることの必要性を感じている。今のスタイルの方がその必要性を話した時に共感してもらいやすいと思っている。
そうだね。
「エンジニアになろうとしている人達」「今働いているエンジニア」「メディア」。色んな人がいるけど、みんなが一致団結した方が盛り上がっていくと思っている。
誰かが頑張っているから自分も頑張れる。頑張っている開発者がいたらメディアがそれを伝えていく。メディアが頑張ってるからアプリ開発者も頑張る。
こういう流れを作っていきたいね。
ちなみに自分は会社勤めしていた時に「課長にならないか?」って話を受けたことがある。魅力的な話だったけど「ハヤえもん」に力を入れたい気持ちがあったんだ。
その時にデザイナーのうめちゃんが「ネックはなんですか?私がお金を出資しましょうか?」って言ってくれて、それが決定打になった。
出資の話はお断りしたけど、個人開発専業でやっていくことを決めたよ。
ハヤえもんは今後さらに加速していくよ。
生き残るアプリ
ハヤえもんは長い期間かけてユーザーと共に成長を続けてきた過程があるからユーザーが離脱しない。
急いで育てることは考えてなく、毎日コツコツ改良を重ねて口コミベースでアプリを広めることを考えている。
ユーザーがいかに離脱しないアプリを作るかが大切だよね。
つい最近Android版文字数カウントメモを出したけど、iOS版で長い期間かけて作ったアプリを再現しているから、ユーザー離脱率がものすごく低い。
一気にランキングが伸びることはなくても、毎日コツコツ順位が上がっている。慌てずじっくり待てばアプリが育つことがわかっている。
ユーザーとの距離感
想いを込めて作ってきたアプリを大切に思っている。アプリを使ってくれているユーザーや一緒に切磋琢磨している開発者のみんなにお礼を伝えたかった。
1文字1文字に想いを込めようとしたらキーボードじゃ無理だった。
自分はツイッターで毎日「ハヤえもん」で検索して、困っているユーザーがいたら「お困りのことがあればいつでも気軽に声かけてくださいね」って言っている。
最初の段階でこれ以上深く突っ込むと、ユーザーが抵抗を感じる可能性があると思っている。こういう距離感はとても大切にしている。
アパレルショップの店員さんで「何かお探しの服はございますか?」って聞かれると、ゆっくり見たいんだけどなー。って思う。
「お困りのことがあればいつでも気軽に声をかけてくださいね」って言ってもらえたら、じっくり商品を見た後、自分のタイミングで店員さんに声をかけやすい。
あれと一緒だと思うよ。
ショッピングで置き換えて考えていなかったなー。
マネタイズについて
そしたらユーザーから「ハヤえもんが好きだし、お礼をしたい。でもそれをする受け口がどこにもない。これは振り込めない詐欺です」って言ってもらえたことがあったんだ。
そこからマネタイズについて考えるようになった。最近だと課金メニューを追加しているんだけど、コアなファンはみんな課金アイテムを買ってくれるんだよね。
感謝し合える関係の大切さに気づいたね。
実は文字数カウントメモも同じで、最初は120円でサービスを出していた。そして、どんどんアプリのクオリティーを上げていったんだけど、長らく値上げしなかったんだ。
そしたらユーザーが「こんなに良いアプリなのにこの価格は勿体ない。もっと開発者さんが報われるべきだ」って言ってくれた。
そこから価格を徐々に上げていった。でも誰一人不満を言わずに喜んで買ってくれる。
売り上げが立たないとサービスの維持が難しくなって、最終的にユーザーを悲しませることになる。
他のアプリを見て思うけど、値下げに踏み切ったアプリの大半が途中でサービス提供を辞めちゃうんだよね。
マシンについて
ハヤえもんってかなり機能数多いし、デバッグに時間かかるんじゃない?
でも愛着が強いんだ。自分にとっては相棒。このマシンに感謝しているんだ。マシンを変えたら開発が捗るのはわかってる。
何度も新しいマシンを買おうか悩んだけど、「まだ使える」「もったいない」という気持ちで踏みとどまってる。今も悩んでる。
ハヤえもんはアプリの規模が大きいし、それにかけている時間は長いでしょ。開発が捗るようになったら、ハヤえもんはもっと加速すると思う。
マシンに感謝する気持ちは素晴らしいけど、開発が捗ったらストレスも減る。家族との時間も確保しやすくなる。アプリの成長スピードが速まればユーザーから感謝されやすくなる。
お開き
最後に一言
妻に対談記事をレビューしてもらった。
毎日パソコンに噛り付いてきたの知っているからさー。なんかなー。
「本当に頑張ってきたんだね」「詰まっているなー」「良い記事だね。ありがとう」
ボロボロ涙を流し、心からの感謝の言葉をもらえた。自分も感極まって涙した。妻と出会って約10年。二人して泣いたのは初めてだ。
14年間という期間、ハヤえもんとユーザーを愛し愛されてきた彼との対談なしではこのような機会を作れなかった。アプリを通じて彼と出会えてよかった。